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「やりたいと思ったことは、今やる。断られることを恐れていたら、何も始まりません」
そう話すのは、ホーチミンで浴衣・着物のレンタルサービス「Hanabi(華美)Rental」を運営する鈴木利美さんです。
若い頃から興味を持ったさまざまな分野に挑戦してきた鈴木さん。2024年、ベトナムのコスプレコンテストをきっかけに、「Hanabi Yukata」(現・Hanabi Rental)として和装レンタル事業を始めました。
今回は、鈴木さんのこれまでの歩みや、ベトナムで事業を立ち上げた経緯、現地のお客様やスタッフと向き合う中で感じていることについてお話を伺いました。
🌎 興味を持ったことに挑戦。海外との縁からベトナムへ
若い頃は原宿の「ホコ天」で踊り、車のレースやバンド活動、飲食店の経営など、興味を持ったことに積極的に挑戦してきた鈴木さん。
海外志向も強く、アメリカ短期留学を経て、2004年には中国の金型工場の立ち上げに携わりました。その際、設計事務所の立ち上げのために訪れたのがベトナムでした。
その後は電気メーカーで海外バイヤーを経験し、2015年に日本で独立。美容雑貨やサプリメントの貿易事業を始め、2017年頃からベトナム市場への販路拡大のため頻繁に訪れるようになりました。
そして2023年、ある出来事が新しいビジネスのきっかけとなります。

👘 父の浴衣がきっかけ。ベトナムで見つけた新しい可能性
2023年11月、鈴木さんはベトナム中南部のニャチャンで開催されたコスプレコンテストに、審査員として参加しました。
きっかけは、日本人の審査員がいた方がよいということで、ベトナム人の知人から声をかけられたことでした。
そのとき鈴木さんが身にまとったのは、お父様が残した浴衣でした。
お父様は三味線の師範として活動し、介護施設などで演奏を披露する慈善活動にも取り組んでいました。2023年4月、93歳でベトナムを訪れ、ホーチミンの介護施設で演奏した後、ニャチャンへ向かいました。
しかし、ニャチャンでの演奏当日の朝に脳梗塞を発症し、演奏は叶いませんでした。その後、日本へ帰国してリハビリを続けましたが、半年後に94歳で亡くなりました。
それから約1か月後、同じニャチャンで開催されるコスプレコンテストに、鈴木さんが審査員として参加することになりました。そこでお父様の浴衣を着たところ、ベトナムの人たちから好評だったといいます。
「日本の和服に、こんなに興味を持ってもらえるんだと思いました」
この経験から、鈴木さんはベトナムにも浴衣や着物を着てみたい人がいるのではないかと考えるようになりました。そして、和装を通じて日本文化に触れる機会を届けるビジネスを始めることになったのです。
お父様がニャチャンで演奏するはずだったこと、そしてその街で、お父様の浴衣が新たな可能性を開くきっかけになったこと。そこには、不思議な縁が感じられます。

🔥 2024年、「Hanabi」の立ち上げ
2024年6月、鈴木さんは浴衣・着物のレンタルサービス「Hanabi Yukata」をホーチミン・タンビン区で立ち上げました。
最初から大きな店舗を構えたわけではありません。まずは半年ほどテストマーケティングを行い、ベトナム人にどの程度需要があるのかを確かめることにしました。
ホーチミンで開催されたジャパンベトナムフェスティバルにも参加し、サービスを紹介すると、「どこで浴衣を借りられるの?」といった問い合わせが寄せられました。
こうした反応を受け、カフェの一角を借りてサービスをスタート。最初の営業場所となったのは、和風コンセプトカフェでした(現在は閉店)。
当初は、浴衣をレンタルし、和をテーマにしたカフェの店内で写真を撮影してもらうスタイル。和風の内装が浴衣によく合い、日本らしい雰囲気の中で撮影を楽しめるサービスでした。
ただ、営業場所は簡単に見つかったわけではありません。鈴木さんは、自らカフェのオーナーに声をかけ、サービスを始められる場所を粘り強く探しました。
「何か新しいことを始めるときは、まず断られることからスタートすると考えています。断られて初めて、スタート位置に立てるんです。もちろん、断られた場合の別の方法や、その先の展開も考えておくことが大切です」
断られることを恐れず、まずは行動してみる。うまくいかなければ別の方法を考え、次の可能性を探す。そうした粘り強さと行動力が、「Hanabi」の立ち上げを支えてきました。




📸 お客様のニーズを取り入れ、好きな場所で撮影できるスタイルへ
サービス開始当初はカフェに併設されたスペースで撮影するスタイルでしたが、その後、店舗を別の場所へ移転。お客様の希望を聞くうちに、もっと自由に写真を撮りたいというニーズに気づきました。
そこで現在は、浴衣や着物をレンタルし、お客様自身が好きな場所で撮影を楽しめるスタイルに変更しています。
主なお客様は20歳前後の女性です。派手なデザインよりも、黒をベースにしたシックな着物が好まれ、中にはインフルエンサーとして活動するお客様もいます。ホーチミンのジャパンタウンがあるレタントン周辺など、日本らしい雰囲気の場所で撮影するのも人気の楽しみ方です。
「最初は、ベトナムの人たちがこんなに写真を撮るのが好きだとは思っていませんでした」
当初は、ホーチミンの暑さを考え、着物より浴衣の方が受け入れられやすいと考えていました。しかし、実際にサービスを始めてみると、着物や振り袖の人気が高まっていることに気づいたといいます。
「浴衣よりも着物の方に強い需要があるのは意外でした。日本では秋冬に着るイメージのある着物を、常夏のサイゴンで楽しむ姿には驚きますね」
ベトナムのお客様を対象にしているからこそ、予想していなかった好みや反応に出会えることもあります。そうした発見から新しいニーズを見つけ、サービスを工夫していくことにやりがいを感じているそうです。


👭 日本文化が好きなスタッフと、一緒につくる「Hanabi」
現在、「Hanabi」では6名のベトナム人女性スタッフが働いています。全員、アニメやJ-POP、日本製品に影響を受け、日本文化が好きという理由から、この仕事に興味を持ったそうです。
「Hanabi」で扱うのは、正絹を使い、手縫いで仕立てられた、まるで美術品のように繊細な衣装です。そのため、衣装を大切に扱うことはもちろん、店内を清潔に保つための掃除や整理整頓も欠かせません。
「スタッフには日本式の掃除の仕方や、整理整頓の大切さは、何度も丁寧に説明しています。きちんと習慣として身につけてもらうことが大切ですね」
文化や習慣の違いもある中で、鈴木さんは繰り返し伝えながら、スタッフと一緒に仕事のやり方を築いてきました。
鈴木さんにとって、スタッフと過ごす時間も仕事の楽しみの一つです。
「みんなで一緒にお寿司を食べに行くのが楽しいんですよ」
日本が好きなスタッフとともに、和装の魅力をベトナムの人たちに伝えています。
🏢 個人向けのレンタルから、企業のプロモーションまで
「Hanabi」のサービスは、個人のお客様向けのレンタルだけにとどまりません。
これまでに、数々の大手日系企業のプロモーションでも和装が活用されてきました。
日本らしい衣装は、商品やブランドの魅力を伝える際にも活用できます。和装を着たモデルが商品を紹介するなど、企業の販促活動においても新しい可能性が生まれています。
お客様のニーズを取り入れながら事業を続けるうちに、企業向けの取り組みにも広がっています。


🏍️ 仕事も旅も楽しみながら、ベトナムでの日々を過ごす
「Hanabi」には定休日がなく、鈴木さんは基本的に毎日仕事をしています。忙しい日々が続くため、休日はほとんどありませんが、時間ができたときはゆっくり過ごすそうです。
気分転換に好きなのが、バイクで近くを走ること。風を感じながら走る時間が、リフレッシュになっています。
また、浴衣や着物の仕入れのため、2か月に1回ほど、2週間程度日本へ行きます。大阪、京都、名古屋、沖縄など、さまざまな場所を訪れる機会もあります。
仕入れが目的の出張ですが、鈴木さんにとっては旅行のような楽しみもあるそうです。仕事に忙しい毎日の中でも、好きなことや新しい発見を楽しみながら、ベトナムでの生活を送っています。
🌱 やりたいことは今やる。ベトナムで広げる日本の和装文化
現在、鈴木さんは「Hanabi」のさらなる事業拡大を考えています。
ホーチミン市内での複数店舗の展開に加え、カフェやスタジオとの業務提携やコラボ企画、さらにはベトナム各地へのフランチャイズ展開も目標の一つです。
「大きな資本がなくても、空いているスペースなどを活用して始められる形にしたいと考えています。これまでのノウハウも提供できます」
新たに店舗を構えるだけでなく、既存のカフェやスタジオなどの一角を活用することで、大きな初期投資を抑えながら和装レンタルのサービスを始めることも可能です。
こうした形で協力先を増やしながら、サービスをさらに広げていきたいと考えています。
お父様の浴衣をきっかけに始まった「Hanabi」。現地のお客様の声に耳を傾け、スタッフとともに工夫を重ねながら、日本の和装文化をベトナムに広げています。
これからどのような場所で、どのような人たちが浴衣や着物を楽しむようになるのでしょうか。鈴木さんの挑戦は、まだまだ続いていきます。
プロフィール:
鈴木 利美さん
浴衣・着物レンタルサービス「Hanabi Rental」運営。
会社員や貿易事業などを経て、2024年6月にベトナムで浴衣・着物のレンタルサービスを立ち上げる。個人向けの和装レンタルに加え、日系企業のプロモーションなどにもサービスを展開。日本の和装文化をベトナムに広げることを目指している。
📢 鈴木さんからのお知らせ
「Hanabi」では、ベトナムでの事業拡大に向けて、ビジネスパートナーを募集しています。
ベトナムで日本文化に関わるビジネスを始めたい方や、新しい事業を検討している方は、ぜひお問い合わせください。
Hanabi Rental
Facebook ファンページ(Hanabi Rental)
Facebook ファンページ(Hanabi Yukata)

Hanabi 代表番号
070 7800 530(ベトナム語)
Zalo対応
鈴木さん 直通番号
070 7687 838(日本語、英語)
Zalo対応
住所:
207/33 Nguyễn Trọng Tuyển,
Phường Phú Nhuận,
TP Hồ Chí Minh, Việt Nam
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このインタビューは、現地で活躍する日本人のリアルな声を通じて、ベトナムでの暮らしや働き方を身近に感じてもらうことを目的としています。
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取材日 2026年10月6日
【執筆・撮影】岡部 祐樹|当サイトStep Jobs代表
ホーチミン在住10年以上。
ベトナムで働く日本人やベトナム人に向けた人材コンサルティング会社「Step Jobs」を経営。
現地で見つけたリアルな暮らしや街の魅力をスナップコラムで発信しています。
当ホームページではベトナムでの日本人向けのお仕事の掲載もしております。
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